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象のカーブとは何かを解説(政治学用語)

今回は、政治学の学問で耳にする「象のカーブ」について紹介します。
英語では「elephant curve」「elephant chart」「elphant graph」などと呼ばれているので興味のある方は下記の英語の記事も読んでみてください。
Being Charged by an Elephant: A story of globalization and inequality – EJIL: Talk!
Bloomberg - Are you a robot?


目次
①象のカーブとは
②象のカーブは何を示すのか
③象のカーブを提唱した『ブランコ・ミラノヴィッチ』とは


象のカーブとは

まずは簡単に説明すると、社会主義国が崩壊し、グローバル化が世界に到来した1988年から2008年の時代(グローバル化の黄金時代)に、だれが儲けたのか、得をしたのか、損をしたのか(個人所得はどう変化したか)を表す曲線のことです。世界銀行エコノミストであったミラノヴィッチが発表しました。
f:id:Kyutei:20200512224303j:plain
引用元:https://blogs.mereorthodoxy.com/matthewloftus/2018/07/17/the-elephant-curve/
上に示した「象のカーブ」といわれるこの図は、縦軸を実質所得の伸び率、横軸を世界の人々の所得分布としています。
例を挙げるならば、cの人々は世界でもっとも裕福な層で、かつ1988年から2008年もグローバル化の恩恵を受け、実質所得を70%伸ばしたということです。
つまり、この調子で分析を続けるならば、世界で上位10%から30%の所得のあったBの人々は、この20年において実質所得を伸ばすことができなかったということが分かります。
そしてAの部分にいる人々は、このグローバル化の時代に大きく成長したことが理解できますよね。

象のカーブは何を示すのか

ではこの「象のカーブ」から何を読み取ることができるのでしょうか。
Bの人々は、ヨーロッパ、アメリカ、日本、ソ連などの先進国の労働者であり、先進国の中間層がグローバル化の影響を受けて没落したことが分かります。そして、Aは中国、インドの人々であり、彼らが急激に所得を増やしたことも示しています。
つまりこの時代は、世界に先駆けて裕福なった国々の限界と、中国、インドという新しい大国の誕生をもたらした時代であることが読み取れます。
さらに、裕福な国々の中でも、最も裕福な層は富を拡大させたことも示しており、国内での格差が広がったことも分かります。

象のカーブの提唱者「ブランコ・ミラノヴィッチ」

ブランコ・ミラノヴィッチはセルビアアメリカ人の経済学者で、世界の所得分布研究の第一人者です。2014年1月からはニューヨーク市立大学大学院センターの客員大統領教授、ルクセンブルク所得研究(LIS)の提携上級研究員を務めています。世界銀行エコノミストを務めていたこともあり、国際的にも高く評価されている研究者と言ってよいと思います。

彼は、国家間の格差だけでなく、国家内での格差にも着目しています。2014年から「globalinequality」というブログを執筆しており、2020年10月現在も更新され続けています。非常にバリューのある情報に簡単に触れることができる素晴らしい内容のものです。この世界で発生する格差について、世界トップレベルで学習したい方は彼の指導する大学に留学すると良いでしょう。



日本語翻訳著書もいくつかあります
大不平等――エレファントカーブが予測する未来
不平等について―― 経済学と統計が語る26の話
英語著書
Liberalization and Entrepreneurship. Dynamics of Reform in Socialism and Capitalism, 1989. M.E. Sharpe.
Income, Inequality, and Poverty during the Transition from Planned To Market Economy. 1998. World Bank.


ここまで「象のカーブ」について簡単に説明してきました。
象のカーブは、グローバル化によって先進国の中間層が沈んだことと発展途上国の成長、また上位数%の富裕層が富を伸ばし続けていたことを示しています。
このことは現在先進国において民主主義が動揺していること、各国でポピュリズムが台頭していることと無関係ではないと私は思っています。
皆さんも気になった方はさらに調べてみて、分析してみてください。



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